結節性硬化症について

結節性硬化症とは?

結節性硬化症(英語ではtuberous sclerosis complex)は、脳、腎臓、肺、皮膚、心臓など全身のさまざまな場所に腫瘍をはじめとする症状が出る病気です。症状としては、てんかん発作や、言葉や読み書きなどの発達に遅れが出る(発達障がい)、人とうまくコミュニケーションが取れなくなる(自閉症)、頭痛、吐き気、お腹の痛み、尿に血が混じる、血圧が高くなる、息苦しい、脈が乱れる、歯の表面にくぼみができる、などがあらわれます。
これらの症状がおきるかどうかや、症状の程度は年齢によっても異なりますし、個人差も大きいのが特徴です。
結節性硬化症と診断されたからといって、必ず病状があらわれるとは限りません。何も問題なく一生を過ごせる場合もあります。

図 結成性硬化症であらわれる腫瘍をはじめとした症状
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結節性硬化症の原因は?

結節性硬化症は、体内のmTOR(エムトール)というタンパク質のはたらきをコントロールしている遺伝子(TSC1遺伝子またはTSC2遺伝子のどちらか)が一部変化し、うまくはたらかなくなることが原因と考えられています。これらの遺伝子が変化すると、細胞を増殖させる役割のあるmTOR(エムトール)が過剰にはたらきすぎてしまい、いろいろな場所に腫瘍をつくることでさまざまな症状が起こります。
遺伝する病気ですが、ご両親からの遺伝よりも、偶然、精子か卵子の遺伝子に変化がおこってしまい発病することの多い病気です。

遺伝子の病気というと、まれなもの、特別なものという印象が強いですが、実際には、死ぬまでに少なくとも60%の人は何らかの遺伝子の病気にかかるといわれているほど皆がかかる可能性のある病気です。

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結節性硬化症の患者さんはどれぐらいいますか?

鳥取県米子市では39歳以下の人口7,000人に1人の 割合で結節性硬化症が診断され、日本全国に約15,000人の結節性硬化症の患者さんがいると考えられます。また、全世界では約100万人の結節性硬化症患者さんがいると考えられています。

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どのような症状があらわれますか?

結節性硬化症は、年齢によってあらわれやすい特徴的な症状がいくつかあります。

図 結成性硬化症の年齢別にあらわれやすい症状

ただし、症状に個人差があり、年齢によっても症状の出方や症状の軽さ、重さがさまざまなため、すべての結節性硬化症の患者さんがこれらの症状すべてを経験するわけではありません。

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どうやって診断されるのですか?

いくつかの特徴的な症状を組み合わせて結節性硬化症と診断されます。
また、他の病気と見分けるために、体の中をみることができるCTやMRI、超音波(エコー)などの画像検査や肺のはたらきを調べる検査、眼の検査などをおこない、総合的に診断しています。

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結節性硬化症は治りますか?

いまのところ、完全に治すことは難しい病気です。症状をおさえる治療をおこないながら、この病気と一生つきあっていくことが必要になります。
病院に定期的に通院しながら、病気の状態を把握し、異常があったときにすぐに治療できるように備えることが大切です。

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どのような治療がありますか?

脳や腎臓にできた腫瘍を手術によって取り除いたり、てんかん発作などの症状をおさえるためのお薬をのんだりします。mTOR(エムトール)のはたらきすぎをおさえるお薬が登場しています。このお薬によって、腎臓や脳の腫瘍を小さくすることができるようになってきています。
ほかにも、結節性硬化症に対する研究は世界中でおこなわれており、今後、結節性硬化症の治療法は進歩していくことが期待されています。

結節性硬化症は、腫瘍の大きさや症状などにより必要な検査や治療がさまざまです。たくさんの検査を受けるのは大変なことではありますが、主治医とよく相談しながら、定期的な検査と適切な治療を受けることが大切です。

監修:鳥取大学名誉教授 大野耕策 先生

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