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結節性硬化症のひろば 結節性硬化症と診断された方とご家族の方へ

患者さんと家族の体験談

体験談 Vol. 4

「選択肢を一つでも多く知るよう努力しています」

家族で医師の話を聞くイラスト
  • E君/出生後すぐに診断され、現在13歳(2013年6月時点)
  • インタビューに応じてくださったのは、母Sさん
家族で医師の話を聞くイラスト
◆2歳ごろまで心臓の腫瘍が一番心配でした

胎児33週時に受けたエコー検査で、胎児にしては非常に大きい2.5cmの心臓の腫瘍(心横紋筋腫)が発見されました。出生後の検査で脳の結節なども認められ「結節性硬化症」と確定診断されました。診断時に、今後おこり得る症状について説明されましたが、当時は心臓の腫瘍(心横紋筋腫)により心不全をおこす危険性があり、「1歳を迎えられない可能性もある」と説明されていたため、心臓に対する心配が大きい状況でした。

1歳ごろには歩き始め、そのころまで発達に特に遅れはありませんでした。しかし、1歳半ごろから徐々に発達に遅れが見られるようになりました。心臓の腫瘍(心横紋筋腫)は、2歳時の心エコーでは検出されず自然に縮小していました。

◆てんかんの手術(脳梁離断)を受けるまで

生後3ヵ月のとき、手足をピクッとさせる動きに気が付き、病院で点頭てんかんと診断され、抗てんかん薬服用を始めました。診断時に点頭てんかんの特徴に関する説明を医師から聞いていなければ、見過ごしてしまうような小さな発作でした。

これまで数種類の抗てんかん薬を試し、発作が消失したり、発作型が変わったり、薬物副反応により薬を変更しなければならない状況も経験しました。2歳ごろからは3剤併用するようになっていたため、薬以外の治療の選択肢を考えるようになりました。2005年ごろから脳外科のてんかん手術を専門とされる医師の会に参加し、てんかん治療について患者の立場からたくさんのことを学ばせていただき、医師との信頼関係を築く上でもよい機会となりました。息子が7歳のときに、手術でてんかん発作を抑えることが可能か検討するために検査入院をしました。当時の検査結果では「手術適応外」と診断をいただき、親としてその後も納得して抗てんかん薬による治療を続けることができました。

その後発作が落ち着いた時期もありましたが、10歳のときに転倒発作をおこすようになりました。前兆がなく突然転倒発作をおこすために、打撲による怪我も増え、片時も目を離せない状況が続きました。すぐに脳外科で検査したところ、今度は、手術(脳梁離断*1)により発作が抑えられる脳波(左右同期型)だったため、即、手術を決断しました。術後は、歩けなくなりリハビリが必要な期間もありましたが、手術により転倒発作は完全に消失しました。(今は、別の型のてんかん発作が1ヵ月に数回の頻度で起こっています。)

てんかん外科の医師の会に参加させていただいていたお陰で、事前にてんかん手術についての情報(手術の効果や術後経過など)を親なりに理解することができ、迷うことなく安心して手術を選択し受けることができました。息子にとっては小学校6年生の1学期を休まなければならなかったのでかわいそうでしたが、今では転倒発作もなく楽しく学校生活を送っています。

*1 脳梁離断とは:左右の大脳半球を連絡する最大の交連線維である脳梁を切断して,てんかんが広く伝わらないようにすることで全般発作を抑える手術です。

◆毎日の電車通学も療育の一つと考えています

息子は現在13歳ですが、知的障がいのため発語はありません。自宅から電車で2駅の特別支援学校の中学部に、親が付き添って電車通学しています。スクールバスがある学校よりも通学は大変ですが、電車通学も社会性を身につけるための療育の一つと考えています。自閉的傾向があり、大好きな電車に関することはすぐに覚えますが、興味のないことは何度も何年も教えても上手にできなかったり、一度習得したことも訓練を継続しないとできなくなったりすることもあります。

脳の腫瘍(SEGA)は年に1回、腎臓の腫瘍(腎AML、腎嚢胞)は年2回定期的に検査を受け、目の腫瘍(網膜過誤腫)と歯科は、それぞれ年1回と月1回、障がい者専門の医療機関*2で定期的に検査、必要に応じて治療を続けています。息子の場合は歯の形成不全(エナメル質の欠損)が普段の生活に大きな影響があるので歯科定期受診は重要です。息子は病院を嫌がって暴れたりせずに検査・治療を受け入れてくれるので、とても助かっています。

*2 障がい者専門の医療機関:地域の医療機関では対応が困難な障がいのある方の診療を専門におこなっている医療機関のことです。かかりつけの病院や療育施設などから紹介を受けたり、インターネットなどで検索して、お住まいのエリアでの開設状況を調べることができます。

◆「育児を楽しむ」時間を味わってほしいと思います

発作のコントロールが上手くいかない時期は、いつ発作がおきるだろうかという緊張感を常にもちながら子どもに接してきました。今振り返ると勿体なかったなと後悔します。福祉支援など上手に活用し、周りに助けてもらいながら、子どもが小さいうちにしか味わえない「育児を楽しむ」時間を少しでも味わってほしいと思います。それとは逆に最近は、母親とずっとべったり一緒に居すぎることで、思春期の大変さを感じますので、「子離れ・親離れ」も大切だと思っています。

◆選択肢を一つでも多く知ることが、親の役目ではないでしょうか

親は子どもの病気を治すことはできませんが、積極的に情報収集をおこない、治療の選択肢を一つでも多く知るよう努力しています。医師と信頼関係を築いて、医師と十分納得がいくまでやりとりをした上で、子どもの治療を託すということが親の役目だと考えています。

※症状や効果のあるお薬などは個人差があります。ここに記載されている治療や日常生活は、医療上のアドバイスや指示を与える意図をもって提供されるものではありません。必ず主治医と相談の上、治療をおこなってください。